矯正歯科

ここでは、歯科用3Dプリンターを矯正歯科の治療で活用する流れや、具体的な活用用途、実際の活用事例などを紹介しています。「矯正歯科で3Dプリンターを使いたいけれどどのように活用できるのか不安」「具体的な事例が知りたい」といった方などは、ぜひ参考にしてください。

歯科用3Dプリンター活用の流れ

1度スキャンすれば全段階の歯形を出力可能

矯正歯科において歯科用3Dプリンターを活用した場合、患者の口内を1回スキャンすればデジタルデータ上で最終歯並びまでの歯形を作成でき、3Dプリンターですべての段階の歯形を出力可能です。

つまり3Dスキャナと3Dプリンターをクリニックで購入すれば、メーカーに頼らずともマウスピース型の矯正装置(アライナー)を用意できるようになるのです。

活用用途

マウスピース型矯正装置や歯ぎしり防止用マウスピースを造形

上で触れたように、歯科用3Dプリンターは矯正歯科の治療において、インビザラインなどマウスピース型の矯正装置(アライナー)を造形するのに使われています。

また矯正治療以外にも、歯ぎしり防止用のマウスピースを造形するのに3Dプリンターが活用されるケースもあります。

こうした3Dプリンターの活用は、製作工程やコストの削減につながるほか、治療時間の短縮や精度アップにもつながります。

【造形方式別】
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活用事例

矯正装置の製作で生産性が大幅にアップ!

矯正治療に必要となる矯正装置を製作するために3Dプリンターを使用しています。歯並びを改善させるための予測模型を3Dプリンターでプリントアウトしたのちに透明なマウスピース用のシートをプレスして矯正装置を製作するために活用しています。3Dプリンターを導入後、比較的早く2ケ月程度で軌道に乗りました。矯正装置の製作において大幅な生産性の向上が達成できました。

参考URL:ALTECHHP公式HP(https://www.3d-printer.jp/case/stratasys/casestudies-kanao-dentalclinic.html)

まとめ

歯科クリニック側だけでなく患者さんにもメリットがある

ここまで解説してきたように、歯科用3Dプリンターは、矯正治療におけるマウスピース型矯正装置の造形に使われています。また、歯ぎしり防止用マウスピースを造形するのにも使えます。

3Dプリンターを導入することで、製作工程のカットやコストの削減につながるだけでなく、治療時間の短縮や精度向上など患者さんにもメリットがあるので、導入を迷っている方はぜひ前向きに検討してみましょう。

【造形方式別】歯科用3Dプリンター一覧

歯科用3Dプリンターには大きく3つの造形方式があります。大型模型を造形しやすいが造形速度は遅い「SLA方式」、スピードとメンテナンス性が良いが導入コストが高めである「DLP方式」、初期費用が安価な分、ランニングコストが高くメンテナンス性が低い「LCD方式」、それぞれにメリット・デメリットがあります。メリット・デメリットをしっかり把握したうえで、自院にとって最もメリットが大きい形式を選びましょう。

幅広く早く造形したい
歯科医院や技工所向け
DLP

DLP対応の
⻭科⽤3Dプリンター
販売会社

大型の光造形出力をしたい
歯科医院や技工所向け
SLA

SLA対応の
⻭科⽤3Dプリンター
販売会社

歯列模型の作成など用途が
限定的な歯科医院向け
LCD

LCD対応の
⻭科⽤3Dプリンター
販売会社

DLP

プロジェクターで面照射をしていく方式。材料(レジン)に、プロジェクターを用いて面で紫外線照射をしていきます。面で造形していくため造形スピードが速く、高精細で大小幅広いサイズの造形も可能。導入費用は高いもののメンテナンスや消耗品が少なくて済むためランニングコストはあまりかかりません。

SLA

紫外線を一点照射させていく方式。レーザーポインターのように紫外線を当てて樹脂を硬化させていきます。1点集中で照射させていくためパワーを出しやすく、装置の大型化もしやすいことから、大型の光造形出力をできる利点があります。一方で、細かい造形には適しない、出力に時間を要するという特徴も。

LCD

液晶ディスプレイ(LCD パネル)でDLP方式同様に面で造形していく方式。紫外線LEDライトをバックライトとして液晶パネルに表示させ樹脂を硬化します。面で照射するため造形スピードが早く、イニシャルコストを安く抑えられますが、液晶パネルが紫外線と熱に弱いため出力品の精度が若干甘く、歯科の模型作成などを行う歯科医院向けです。また、液晶パネルを定期交換する必要があり、他の造形形式よりもランニングコストが掛かります。