【歯科医院向け】3Dプリンター購入は
ものづくり補助金の対象になる?

近年歯科業界でも注目されている「3Dプリンター」。歯型模型やサージカルガイドなどの製作のため、購入を検討している先生も多いのではないでしょうか。しかし、やはりネックとなるのは購入価格です。そこで、今回の記事では、歯科クリニックの3Dプリンター購入にも適用例がある「ものづくり補助金」についてご紹介していきます。

ものづくり補助金とは?

概要

ものづくり補助金と言うと、歯科クリニックには関係がないと思いがちです。しかし、実際に補助金の対象となる場合もあるので、概要を押さえておきましょう。「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」というのが正式名称となっており、中小企業庁と独立行政法人中小企業基盤整備機構が、中小企業による新商品や新規サービスの開発などが実現できるよう、設備投資などを支援するために立てた補助金制度です。

歯科医院への適用

補助金の歯科医院への適用はありますが、いくつかの条件があります。まず、医療保険が適用されない医療事業が補助対象となっていることです。これは、革新的なサービス開発などが目的となっているためです。もう一つは、医療法人や社会福祉法人は適用外ということです。個人で開業している場合のみ、補助金の対象となります。つまり、個人経営のクリニックで、自由診療に使用する3Dプリンターであれば補助金の対象になります。ただし、補助金の申請には、そのほかにもさまざまな応募要件があります。必ず事前にものづくり補助金の最新の公募要領を確認してください。

参照元:ものづくり補助金総合サイト:https://portal.monodukuri-hojo.jp/

ものづくり補助金の3Dプリンター採択事例

歯科技工所での3Dプリンター採択事例

補綴物などを製作する歯科技工所の例です。従来は歯科クリニックから採取した印象をもとにして、歯科技工士が歯型模型を製作、それを元にクラウンやインレーなどの補綴物を製作していました。多くの技工所では、現在でも手作業にて歯型模型を製作するため、粉塵による身体的な影響などの懸念もあります。しかし、3Dプリンターを導入することで、製作の工程は大幅に短縮され、効率化を図れるとともに粉塵対策にもなります。補助金により、導入が容易になることで、歯科技工所にも3Dプリンターの普及が見込まれることでしょう。

採択事例の共通点

歯科領域におけるものづくり補助金の採択事例の共通点は、最新技術の導入や活用により治療の質と効率の向上や感染症対策、地域医療への貢献と言えます。これは本来のものづくり補助金の目的である革新的な製品やサービスの開発、生産プロセスの改善、そしてDXの促進に沿ったものです。導入予定のある機器がこれらに当てはまるかを今一度検討してみると良いでしょう。

まとめ

ご紹介してきたように、ものづくり補助金は、一般の製造業などだけではなく、歯科クリニックも対象となる場合があります。しかし、医療法人や社会福祉法人は適用外であり、また、医療保険が適用される事業に対しては対象外となっています。そのほかにもさまざまな応募要件がありますので、必ず最新の公募要領を確認してください。

【造形方式別】歯科用3Dプリンター一覧

歯科用3Dプリンターには大きく3つの造形方式があります。大型模型を造形しやすいが造形速度は遅い「SLA方式」、スピードとメンテナンス性が良いが導入コストが高めである「DLP方式」、初期費用が安価な分、ランニングコストが高くメンテナンス性が低い「LCD方式」、それぞれにメリット・デメリットがあります。メリット・デメリットをしっかり把握したうえで、自院にとって最もメリットが大きい形式を選びましょう。

幅広く早く造形したい
歯科医院や技工所向け
DLP

DLP対応の
⻭科⽤3Dプリンター
販売会社

大型の光造形出力をしたい
歯科医院や技工所向け
SLA

SLA対応の
⻭科⽤3Dプリンター
販売会社

歯列模型の作成など用途が
限定的な歯科医院向け
LCD

LCD対応の
⻭科⽤3Dプリンター
販売会社

DLP

プロジェクターで面照射をしていく方式。材料(レジン)に、プロジェクターを用いて面で紫外線照射をしていきます。面で造形していくため造形スピードが速く、高精細で大小幅広いサイズの造形も可能。導入費用は高いもののメンテナンスや消耗品が少なくて済むためランニングコストはあまりかかりません。

SLA

紫外線を一点照射させていく方式。レーザーポインターのように紫外線を当てて樹脂を硬化させていきます。1点集中で照射させていくためパワーを出しやすく、装置の大型化もしやすいことから、大型の光造形出力をできる利点があります。一方で、細かい造形には適しない、出力に時間を要するという特徴も。

LCD

液晶ディスプレイ(LCD パネル)でDLP方式同様に面で造形していく方式。紫外線LEDライトをバックライトとして液晶パネルに表示させ樹脂を硬化します。面で照射するため造形スピードが早く、イニシャルコストを安く抑えられますが、液晶パネルが紫外線と熱に弱いため出力品の精度が若干甘く、歯科の模型作成などを行う歯科医院向けです。また、液晶パネルを定期交換する必要があり、他の造形形式よりもランニングコストが掛かります。