入れ歯治療においても注目を集めている歯科用3Dプリンター。ここでは、入れ歯治療で具体的にどのような使われ方をしているのか解説しています。また、使用上の注意事項もまとめたのでチェックしてください。
歯科用3Dプリンターは、入れ歯治療における義歯の作成においても注目されています(プリントデンチャー)。
デジタル設計された義歯を作るのはミリングでもプリントでも可能ですが、歯科用3Dプリンターではミリングでの作成と比較したときにさまざまなメリットが挙げられます。第一に、作成時間を短縮できるということ。また、複雑な形状を造形できることや、複数個を同時に作れることも大きなメリットです。さらに、繰り返し同じものを作成できる3Dプリンターなら破損時や紛失時もすぐに再製作が可能です。
口腔内スキャナから総義歯を作る研究も行われるなど高い注目を集めているプリントデンチャーですが、国内の臨床例はまだ大学病院のものに留まっています。薬機法の制限やコストの問題があるようです。
【造形方式別】
自院・技工所に合った
歯科用3Dプリンターを探す
歯科用3Dプリンターの一般的な造形手順は、「1.CADデータの用意」→「2.造形データの用意」→「3.本体の準備」→「4.造形」→「5.造形物の取り出し」→「6.必要な場合には二次重合」となりますが、取り扱いにおいて注意したいポイントが2つあります。 まず1つめは、素手で使用しないこと。材料となるレジンにはモノマーが含まれるので、必ずグローブを装着しましょう。
歯科用3Dプリンターを使用するうえでのもう1つの注意点は、換気に気を付けることです。洗浄の際にIPAなどの有機溶剤を扱うことになるため、なるべく換気の良い環境で使用する方が良いでしょう。
近年、歯科医療現場で多く導入されるようになった歯科用3Dプリンター。今後は、義歯の作成においても積極的に活用されていくことが期待されます。活躍の幅を広げていく歯科用3Dプリンターに注目し、導入を検討している歯科クリニックも多いと思いますが、使用の際には上で解説した使用上の注意点にも気を付け、安全に活用しましょう。
歯科用3Dプリンターには大きく3つの造形方式があります。大型模型を造形しやすいが造形速度は遅い「SLA方式」、スピードとメンテナンス性が良いが導入コストが高めである「DLP方式」、初期費用が安価な分、ランニングコストが高くメンテナンス性が低い「LCD方式」、それぞれにメリット・デメリットがあります。メリット・デメリットをしっかり把握したうえで、自院にとって最もメリットが大きい形式を選びましょう。
プロジェクターで面照射をしていく方式。材料(レジン)に、プロジェクターを用いて面で紫外線照射をしていきます。面で造形していくため造形スピードが速く、高精細で大小幅広いサイズの造形も可能。導入費用は高いもののメンテナンスや消耗品が少なくて済むためランニングコストはあまりかかりません。
SLA紫外線を一点照射させていく方式。レーザーポインターのように紫外線を当てて樹脂を硬化させていきます。1点集中で照射させていくためパワーを出しやすく、装置の大型化もしやすいことから、大型の光造形出力をできる利点があります。一方で、細かい造形には適しない、出力に時間を要するという特徴も。
LCD液晶ディスプレイ(LCD パネル)でDLP方式同様に面で造形していく方式。紫外線LEDライトをバックライトとして液晶パネルに表示させ樹脂を硬化します。面で照射するため造形スピードが早く、イニシャルコストを安く抑えられますが、液晶パネルが紫外線と熱に弱いため出力品の精度が若干甘く、歯科の模型作成などを行う歯科医院向けです。また、液晶パネルを定期交換する必要があり、他の造形形式よりもランニングコストが掛かります。